データ分析コーナーの使い方⑥
血統の地殻変動、その兆しと、強制バイアスの発生について
(有馬記念週の回顧、冒頭部分から、血統のこれからの話と、バイアスについての抜粋)
編:日曜の両重賞、本命がズバッと来ましたね。有馬記念の1番人気本命もビックリしましたが、ホープフルSの8番人気マイネルスフェーン本命は痺れました(笑)。
今:単勝で47倍もついてたから仰け反ってかなり勝負したよ。18倍くらいの人気だと思ってたからね。馬体重も問題なかったし。
編:結果2着でしたが、予想上位3頭が綺麗にそのまま3着以内を独占したので、3連複3600円は1点目、馬連2380円も2点目的中でした。
今:相手が1、2番人気だったから面白さも半減だったけどね〜。それでも人気2頭との組み合わせなのに複勝で400円もついたから美味しかったよ。
編:ホープフルSの解説は後で時間があったらして貰うとして、有馬ですが、1番人気のサトノダイヤモンドで来るとは驚きでした。ディープインパクト産駒の牡馬ですし(笑)。
今:前日売りでは2番人気だったからね。まぁ、当日1番人気になる確率もそれなりにあるかなぁとは思っていたけど。
編:さすがGⅠで1番人気本命だと、きっちり勝ちますね〜。今年、3頭全てが勝ったんじゃなかったですか?
今:今回は2頭の人気が抜けていたからね。GⅠで、単勝3倍割るかもしれないような馬を本命にする以上は、勝って貰わないと話にならないよ。GⅠのときは、そんな甘ったるい予想しているわけじゃないからね。こういう人気馬を本命にするときは、あらゆる角度から検証して、全てにゴーサインが出なければ本命にしない。ただ、GⅠで人気馬を本命にするときはだいたいそうだけど、人気薄に本命に出来るだけの理由がある馬がいなかったんだよね。本命にすると自分自身を裏切ることになる、そういう場合はどうしても出来ないからしぶしぶのサトノ本命だよ。M的に狙えるストレスの無い馬はサトノダイヤモンドとミッキークイーンくらいだろう。でも、この条件の適性と、前走で硬くなるリスクを考えれば、ミッキークイーンというわけにはいかない。そうなると、どうしようもなかったというのが正直なところだった。昨年、人気薄のサウンズオブアースを狙ったときのような高揚感、わくわく感は全くなかったね。
編:昨年は高配当的中でしたもんね〜。ディープインパクト産駒の牡馬をこの条件で狙ってきたのにも驚きましたが?
今:初古馬戦の鮮度があるから、その辺はごまかせるという判断だった。ワンポイントアドバイスで話したように、こういう条件に強い、タフな血統の種牡馬が高齢化してきて、徐々に力を失っているという問題もあったけどね。だからブラックタイドみたいな血統、あるいは昨年のスクリーンヒーローみたいな血統が嵌まるとチャンピオンホースを出す確率が上がるという時代にもなったわけだけど、間隙を縫うように相対的にトップクラスの数が多いディープインパクト産駒の牡馬でもチャンスが出てくる可能性も、高まりつつはある。今回みたいに牝馬で状態が良いのが出なければ、そしてこのまま国内で、S要素、C要素の強い種牡馬が高齢化していけばね。でも、そうなってくると、例えばフランケルみたいな黒船が出てきたときには、みんな一蹴されちゃうこともあるわけだけど。内国産種牡馬でS要素、C要素の強い種牡馬が若かった頃は、そういう可能性は芝2200m以上の大一番ではほとんど彼らの前に退けられてきた、それがここ10年、20年の歴史だったんだけど、そこに地殻変動が起きる可能性、新たな種がまかれてしまった可能性、その萌芽は少なからずあるわけだ。かつてトニービンやブライアンズタイム、サッカーボーイとかが高齢化していったとき、入れ替わるようにステイゴールドやジャングルポケット、ネオユニヴァース、スペシャルウィークとかが出てきたように、また内国産でそういう何かが出てきて欲しいけどね。昨年のネオユニヴァース2着を挟んで、1着スクリーンヒーロー、3着ブッラクタイドの決着は、そういう地殻変動の可能性に対して、1つの形を示したわけだったけど。
編:なるほど〜。ところで相手が結局人気2頭だったのは残念でしたよね。
今:まぁ、仕方ないだろう。当日の芝2000m以上は完全な内差し馬場に変わっていたからね。外を回った差し馬は余程ハイペースにならない限り物理的に全くのアウトな馬場だった。で、内枠で走れるのって、冷静に考えても2、3着馬しかいないだろう。4着に2枠4番のヤマカツエースが来ていることからも分かるように、内が絶対的に有利。でもヤマカツエースでは、いくら内枠有利たって4着が精一杯だ。そうなると、ハイペースにならない限り、あれ以外の答えは用意されていない。逃げ馬が飛ばして、2番手以降はかなり緩い流れだったから、余計にね。
編:となると、唯一、二桁馬番で5着以内に入ったサトノダイヤモンドはかなり強かったということですか?
今:内容はね。スタートのまま後ろを回って、そのまま外に出したら絶対勝てない馬場でペースが落ち着いたから、一瞬ルメールは焦ったんじゃないかな。もうこれは早めに仕掛けて行くしかないってね。だから、一気に仕掛けて前に行った。かなりきつい競馬だけどね。でも、ああ乗る以外は、内の人気2頭には絶対に勝てない馬場、流れだった。あれ以外の選択肢は全くゼロ。いや、直線で最内を突けば勝てたかもしれないけど、1番人気の前を開けるほど、他のジョッキーが甘い可能性がどれだけあるか、分からないからね。ああ乗るしかなかったよ。完璧な騎乗だった。
編:かなり長く脚を使いましたもんね。相当強かったですね。
今:ただ、揉まれないで乗りたいディープインパクト産駒だから、あれで良かったとも言える。単純な斤量差と量を活かせば、凌ぎきれるからね。なにせ鮮度は抜群なんだから。
編:でも、ホープフルSの方は11番枠と外枠の追い込み馬が本命でしたが、人気薄で激走しましたよ?
今:このレースは有馬と違って前半の方が1秒速い、この時期の2歳には相当厳しい淀みない流れだったからね。そういうペースでも、この日の馬場では外回った差し馬は勝ち負けまでは無理だった。マイネルスフェーンはスタートからインに入れたからね。
編:もともと外枠どうかの集中力系で馬群に潜り込めば、という解説でしたもんね。
今:そうだね。だからスタートで内に潜り込んだ瞬間に来たのは分かったよ。スタートだけ、冷や冷やして見てたからね。外回ったら、タイプ的にも馬場的にも終わりだから。
編:今井さんの指示通りの位置取りだと、本当にとんでもない人気薄でも激走しちゃいますよね〜。
今:しかし、3日連続開催の最終日にまさか完全な内伸び馬場になるとは読めなかった。よく考えれば、このレースは人気馬が全て内枠だもんね。あの枠順を見たときに、日曜は内伸び馬場になると読めないと駄目だったのかもね。週中に降った雨で、内から乾いていく馬場になったのと、内の芝がはげて硬くなったんだろうけど。日曜の芝は全て外伸びて予想して全く逆の馬場だったから、騎手が他のレースも中枠から潜り込んでくれたから良かったものの、下手すれば全敗だったよ。12月の芝は読みが全部逆になった。こんな読みにくい強制バイアスが発生するなら、枠順知らないで予想しないと当たらない(笑)。翌日に全く逆のバイアスに突如、しかもそれ以外はアウトの強制バイアスになるわけだからね。まぁ、そういう可能性もあったから、ビビって完全に外枠で攻めないでどっちにも入れる中枠近辺で妥協したから、芝2000m以上で3頭とも本命が連対してくれたわけだけど。外枠で攻めてたらと思うとゾッとするよ・・・。有馬だって8番枠より外で上位に来た3頭、サトノと、人気薄のミッキー、シュヴァルはそのまま僕の上位評価の3頭だったろう?狙い通りの、内荒れで内が全く伸びない外伸び馬場だったら、あの3頭で決まってた可能性もそれなりに高いわけだからね。芝長距離は、そのくらい内伸びの強制バイアスが発生してたんだ。
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