データ分析コーナーの使い方⑩
鮮度時のC要素について
今回は競走馬がC要素(集中力)を、いつも以上に強く付加されるタイミングについて、最新指数のダッシュ値の概念も交えて、考えていきたいと思う(同時にディープインパクト産駒とハービンジャー産駒についても、より深く考察していく予定だ)。
揉まれ弱い淡泊な血統(L系)でも、一時的に馬群を割れる状態になることがある。
例えば、M3ではL要素が比較的強いとされるディープインパクト産駒牡馬でも、鮮度時にはある程度の馬群耐性が与えられる。ウマゲノム辞典でも、マイルCSにおけるサングレーザーの話などで詳細を書いているので、覚えている人も多いだろう。
人気薄で大阪杯を激走したペルシアンナイトも、ある程度のC要素が付加されるタイミングと判断しての本命だった。
もちろん、これが例えば先日の皐月賞で1番人気に支持されたワグネリアンのように同一条件のトライアルで好走した後のタイミングでは、ディープインパクト牡馬がC要素を付加される可能性は極めて低い。その状態で内枠だったので、無印で予想したのだった。前週の桜花賞で3番人気に支持されたマウレアも、同一条件のトライアルであるチューリップ賞好走後なので、C要素が付加される可能性は低かった。ただ、外枠だったので踏ん張る必要がないのと、C要素をある程度持つ牝馬ということを総合すれば、ワグネリアンのように切り捨てまではいかずに押さえの1頭評価が妥当ということだった。
この皐月賞、桜花賞の人気馬2頭は、連続して似た条件のトップクラスを走り、ほぼ全力を出して連対した直後の、相手強化での激戦だった。このように鮮度を著しく失った状態では、非C系にはかなり辛いステップと容易に判断出来る。
では、馬群耐性が上がる、一時的にC要素が付加されるタイミングとはどんなときか?
鮮度とは、近走の鮮度と、生涯鮮度の2つがあって、その何れかがクリアされている状態だと、馬群耐性は上がる。
ここでソールインパクトというディープインパクト産駒を使って、その辺りをちょっと考えてみたいと思う。
同馬は、7番人気のアルゼンチン共和国杯で2着と、重賞初連対を果たすことになる。このときは準OPからの挑戦で鮮度があったので、相手の1頭に指名し、前日予想で3連複を当てることが出来た。AR共和国杯では、一気の相手強化で、多頭数16頭立ての7番枠と、比較的タフに感じる臨戦過程だったのだが、前走は準OP負けだったので、鮮度は高く、一時的にタフなレースでも走り抜けられる可能性が高かったのだ。したがって、ここで上位評価するのは定石であり、Mをよく知る人なら、僕と同じように上位評価したのではないだろうか?
同じアルゼンチン共和国杯には、やはり人気薄でハッピーモーメントというディープインパクト産駒も出ていたのだが、少なくともこれには先着することが分かる。同馬は春に東京2500mという、今回と全く同じ条件の重賞目黒記念に出ていて、13番人気で3着に激走したのだった。このときは2走前までが準OPで、前走が弱い相手のOP特別で凡走し、今回が延長と、今回のソールインパクトとかなり似た臨戦パターンだったのである。この2頭の各々の激走は、「フレッシュ時の延長で相手強化」の場合、ディープインパクト産駒の馬群耐性が上がることの好例といえる。ちなみに、今回のアルゼンチン共和国杯では鮮度を失っていたので、春の目黒記念と同じ条件だったが、ハッピーモーメントは10着に惨敗したのだった。
ここまではかなりMでは基本的な部分になる。今回の話が核心に入っていくのは、ソールインパクトの2走後、ダイヤモンドSである。
同馬はアルゼンチン共和国杯の好走が評価されて、その次走、日経新春杯では前走の単勝19倍から単勝7.7倍と一気に倍以上オッズが上がった。だが、もちろんここは要らない。6歳のディープインパクト産駒牡馬が、7番人気2着と激走した直後の、ほぼ同じ相手、距離の重賞である。鮮度を失った同馬が走る可能性は極めて低いので、私も一転、評価しなかった。結果、11着に惨敗し、人気薄だったガンコを本命にしたお陰で、高配当を当てることが出来たのだった。
そして迎えたのがダイヤモンドSである。前走の惨敗で2走前がフロック視され、単勝11.7倍の6番人気と評価をまた下げてきた。
しかしM的には、今回は「凡走後の延長」と、2走前とステップが同一なので、狙い頃と判断されるタイミングになる。ただ問題点も2つほどあった。それは、
①アルゼンチン共和国杯のときより重賞鮮度が落ちていること。
②古馬のディープインパクト牡馬にとっての3400mの重賞ということ(しかも大幅延長)。
この2つは辞典を見ると分かるが、ディープインパクト牡馬の古馬を評価する点で、かなりのマイナスインパクトになる。
これらの問題をどのように考えればよいのだろうか?
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